近年存在を知られるようになってきた、「学習障害」
いわゆるLDのことでございます。
一般の生徒と比べると学習能力の発達が遅れ、
学校の授業についていくことが困難になるのです。
学校ではLDに対する理解が増えているようで、
学習支援を行う教員がついたりと、
手厚くサポートをするようになっております。
しかし、残念ながら社会全般では理解が遅れているようで、
私が勤めていた会社の同期の女性で、
中々業務内容を覚えられなかった方がいるのですが、
先輩や上司につらく当たられ、
鬱病になってしまいました。
だから、学習障害を持っていたとしても、
社会で生きていくためにはやはり、
人並みの能力をつけてほしいと願うのです。
身近に家庭教師がいないということで、県外からお呼出が来ました。
お母様曰く、やる気はあるものの成績がのびないそうで…
軽い学習障害と診断されたそうです。
生徒の名前は…仮に日出男くんとしましょう。
日出男くんはおとなしいのですが、素直で、
受け答えはきちんとしてくれます。
宿題などもきっちりやるようで、
先生方にがんばりは認めてもらっているそうですが、
テストの点数は一桁なのだそうです。
四則演算は問題なくできるのですが、
どうやら正負の数がよくわかっていないようで、
ここからつまずいているようでした。
お母様曰く、日出男くんが3年に進級することになって、
高校入試に対して不安を抱えるようになったそうなので、
1時間だけ頂いて勉強することにしました。
「まずは学校の授業をわかるようになってほしい」
と思っているので、3年の内容を先取りしました。
分配法則や多項式同士の積ですね。
(x+3)(x+4)とか、
福岡県公立高校入試でよく見かけるあれです。
1年で習う分配法則すら、わかっていない様子だったので、
こんな風に教えてみました。
ー 2(1+3)はいくつになるかな?()の中を先に計算するよね?
「8ですか?」
ー そうだね。これって実はさ、1に対して2をかけた数と、
3に対して2をかけたもの、つまり、
2(1+3) = 2×1 + 2×3
と同じ数になるんだよ。
2(a+b)とかだと()の中を計算したくてもできないから、
2a+2bという風に表すんだ。
「なるほど、そうなのですか!」
教え方を工夫すると、めきめき理解ができたようで、
自力で(x+3)(x+4)=x^2+7x+12なんて、
さっと導くことができるまでになりました。
正直申せば…こんな潜在能力を発揮した彼に、
私の方が驚きました。
勿論お母様が驚かれたのは、言うまでもありません。
学習障害を抱えていると、
他の生徒が理解できることでも、
理解できないことが往々にしてあるのですが、
それならば教え方を工夫してみてはいかがでしょうか?
学習障害を含め、何らかの挫折を味わったからこそ、
懐の深い、魅力のある方になることが多いと感じております。
日出男くんもいずれそうなってくれたら…と期待しつつ、
これから一緒に頑張って参ります^^
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