分配法則・展開の公式をイメージで捉えよう

中学から始まる数学では、
抽象化された数式を操作する能力が求められます。

さらにスピードも要求されるようになるため、
公式の暗記を推奨されるようになります。
特に高校数学では、大学受験を控えているため、
その傾向が顕著となります。

しかし抽象的なこと、想像しにくいことを覚えることは、
人間にとって大変なことであり、
「公式を覚えたものの、使い方がわからない」
「公式が全く覚えられない」
と苦しむことになることもしばしばあります。

そこで今回は、抽象的な公式を覚える方法をご紹介したいと思います。

つまずきの原因

公式の意味を理解できない

高校生までは、論理的思考能力が発達途上であるため、
理屈を飲み込みにくいところはありますが、
人間は誰しも、
「意味が分からないこと」
については記憶しづらいものでございます。

公式についても、例えば縦3cm、横4cmの長方形の面積であれば、
「縦に3人ずつ、4列に並ぶ」
といった場面を想像すれば、
$$3×4$$
という掛け算になることを
しっかりと理解したうえで覚えられるようになりますが、
「縦に3人ずつ、4列に並ぶ」
という場面を全く想像できない場合は
「なぜ掛け算になるか」ということを理解できないため、
$$3+4$$
などと誤ることが多くなります。

規則性を見抜けない

個人的な見解ではございますが、
中学・高校と数学が得意になるタイプは、
様々な事象から規則性を正確に捉えられる、
抽象化して応用できる能力を持っているように感じます。

また、こうした能力が磨かれていない方であっても、
演習を繰り返すことによって、
無意識のうちに規則性を掴めるようになります。
「演習を繰り返すうちに意味がわかるようになった」
という現象は、これに起因しているのではないでしょうか。

なので、規則性を掴む感覚を養うという目的も含めて、
演習を繰り返すことは、地味でありながらも効果が高いのです。
そのため、教育現場において、演習を重視しているわけですね。

ところが、人間は誰しも得意不得意があり、
演習を繰り返す中で規則性を掴み、
公式について理解できる人もいれば、
百題、千題と解いても全く理解できない人もいます

そういう訳で、「理解できないのは努力が足りないからだ」
と短絡的に決めつけてはいけないようですね…
(心情的には大変理解できますが^^;)

なので私は演習のみで理解させようとするのではなく、
演習できるレベルにまで、ちょっと伴走してみよう!という考えに至り、
概念をイメージでわかりやすく説明することにしました。

面積図を用いた教え方

分配法則について

分配法則…とは、例えば
$$3(x+3)$$
であれば、3と、カッコの中のxおよび3をかけた後、足し合わせて
$$3x+9$$
となる、あの法則のことです。

ところがこの法則、よく後ろの数をかけ忘れるケースが多く、

生徒
$$3x+3ですね!$$

なんて答えられることがしばしば…
理屈をここで一生懸命、口頭で説明しても忘れられたり、

生徒
$$いやもう先生、意味が分からないっす$$

と言われることまで…(笑)

そこで、視覚的に理解できるよう、面積図を用いてみます!

まつもと
$$3(2+3)って、縦が3、横が(2+3)の長方形ってことだから$$
まつもと
$$こんな図になるよね。だから、3×2と3×3を足すんだ。$$
生徒
$$3×2+3×3=15、3×(2+3)=15$$本当だ、一緒になりますね!
まつもと
$$それで、今度は2の部分をxとしてみたら、こんな図になるよね$$
生徒
なるほど、だから$$3(x+3)=3x+9$$になるんですね!

と、このようにして具体的なイメージを掴んでもらうことで、
分配法則についてしっかり理解できるようになりました^^

展開公式について

前述の分配法則についての面積図を拡張します。

まつもと
$$(x+2)(x+3)では、掛け算がどこに隠れてる?$$
生徒
$$(x+2)と(x+3)の間ですよね$$
まつもと
そうだね、だから縦の長さがx+2、横の長さがx+3の長方形にしよう!
まつもと
あとは、同類項の2xと3xをまとめれば…
生徒
$$x^{2}+5x+6$$ですね、これならどの展開公式を使えばいいかな?って迷わなくて済みます!
まつもと
他の展開公式についても、次のように描けばいいよ
 

 

 

 

 

生徒
$$(x+2)(x-3)についてですが、-3xとか-6って$$面積としてちょっと想像しにくいかも…
まつもと
確かにそうだね…ならば…
①縦の長さが(x+2)、横の長さがxの長方形の面積を求める
②①から、縦の長さが(x+2)、横の長さが3の長方形の面積を引く
と考えてみたら?
生徒
それなら納得できます!ちょっと面倒だけど(笑)

置換して展開公式に適用しなくとも…

まつもと
$$(x^{2}+x+1)(x^{2}+x-1)$$という式について、一般的には$$x^{2}+x=A$$というように置き換えて、展開公式に当てはめるんだけど…
生徒
どこを置き換えればいいのかがわからなくて…この問題嫌いっす…
まつもと
そうだね…でも、これも面積図で考えてみると…
生徒
おお、置き換えなくても答えがわかっちゃいましたね!
しかもこれなら、計算し忘れることが無いし…
そう言えば斜めに同類項が並んでますね!これは計算しやすい!…
ただ図を描くのにちょっと時間がかかるし面倒ですが(笑)
まつもと
まあそこは慣れてきたら、描かなくても頭の中でイメージできるようになるから、それまで辛抱してね(笑)

そんなこんなで、無事に展開をマスターさせることができました^^

具体的なイメージをつかめれば、
意外とすんなり覚えられることもありますので、ぜひお試しくださいませ!

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